私を赤く染めるのは



「リーダーの慎涼平です!今日はファンの皆さんと楽しい思い出をたくさん作りたいです!よろしくお願いします。じゃあラストは煌」

リーダーらしくファンの皆への言葉と煌へのバトンを繋ぐ慎くんはBijou最年長の20歳でメンバーカラーはグリーン。

ダンスが得意で振り付けなんかも慎くんが考えている。


そして、モニターが慎くんから煌へと切り替わった瞬間、待ってましたと言わんばかりの熱い歓声が会場に響き渡った。

「一色煌です。今日は俺達から一秒たりとも目離すなよ?よそ見なんかしてたら後悔すっから」

煌がそう問いかけると「はーい」や「わかったー!」というファンの声が飛び交う。


煌の人気はその整ったビジュアルはもちろんSっ気が強く俺様なところが(煌担いわく)ファンの心をくすぐるらしい。

俺様Sキャラに興味がない私でも煌の言葉には時々ドキッとさせられる。

少女漫画に出てくるような俺様ちっくなセリフも煌が口にすると様になってしまう。


そんな煌は先月、初主演映画が決まったグループの顔だ。



自己紹介と雑談を挟んだ後、再び会場は暗くなり5曲目がスタートした。

激しいダンス曲に時折バラードを織り交ぜながらBijouとファンはひとつになっていく。

こうして完全にBijouの世界に入り込んでいると、10曲目に突入したあたりでピッと玄関の鍵を解除する音がした。


あ、お兄ちゃんだ。

電話の件を尋ねるために、リビングから玄関へと向かう。

廊下を突き進みあと数歩で玄関というところでガチャと音がしてドアが開いた。

「おかえり」

私がそう声をかける前にお兄ちゃんではない誰かが玄関に押し込まれる。


だ、誰……!?