「変装?」
「帽子とメガネだけでも結構、雰囲気変わるかも」
「じゃあ、そうしておこうかな」
車に置いてあった帽子と雑貨屋さんで購入した伊達メガネをかける碧人くん。
これで大丈夫!と思いきや……。
……おかしい。
さっきからすれ違う女性が皆、碧人くんを見ている。
あまり意識したことがなかったけれど、碧人くんって綺麗な顔してるんだよね。
今は落ち着いたけど、赴任時は女子生徒達からキャーキャー言われていたのを覚えている。
変装をしたことによって、芸能人が歩いているとでも思われてるんじゃ……。
この作戦むしろ、逆効果!?
そんなことを考えていると、今日一番楽しみにしていたパンケーキのお店に着いた。
「わー。やっぱり並んでるね」
お店の横にはずらりと行列ができている。
いち、にー、さん、しー……、
お店に入れるまで30分以上はかかりそうだ。
最後尾と思われる列に並ぶため店を通り過ぎようとすると、碧人くんはそのままお店の中へと入って行った。
「碧人くん?」
「予約している橘です」
碧人くんは店員さんにそう告げる。



