私を赤く染めるのは



もう何度も観たはずなのにまるで初めて観るかのような新鮮な気持ちを抱え5色に光るペンライトを振る。

VTRが終わるとセンターステージから爆発音のようなものが鳴り、Bijouのメンバーが一斉に飛び出した。


「「「「「キャー」」」」」


ファンからは悲鳴にも似たような歓声が湧き上がる。

その歓声にニコリと笑顔を見せるメンバーもいれば、涙をこらえるかのようグッと下唇を噛むメンバーも。


1stコンサートはBijouとファンにとって大きな夢をひとつ叶えた瞬間だった。

「みんな来てくれてありがとー!」

リーダーの慎くんがそう叫ぶ。


BijouのメンバーとファンのボルテージがMAXまで上がった瞬間1曲目が始まった。

あの日Bijouの運命を変えたデビュー曲『輝く宝石』だ。

もう何度も聴いたその曲はメロディーが体に染み付いていて、歌詞が出なくても自然に口ずさめる。




そのまま、2曲、3曲と続き一旦暗くなる会場。

次に照明がステージを照らした時、メンバーは手を繋ぎ一列に並んでいた。


そして、パッと手を離し一礼すると「「「「「こんばんはBijouです」」」」」そう挨拶をした。

ファンがそれぞれの推しの名前を叫び、再び歓声に包まれる会場。


カメラが観客席の方を向くと涙を流しながらペンライトや団扇を振るファンの姿が会場のモニターに映し出された。



その様子を見てさっきまで笑顔だったメンバー達の目にも涙が浮かぶ。