「ハチの熱愛にはビックリって感じだけど、ハチが幸せなら応援したいと思ってる。相手の匂わせはやめてほしいけどね。煌に対しては……まだ気持ちの整理はつかないかな」
離れていてもBijouを追えばそこには必ず煌がいる。
朱莉の言うとおり新しい恋でも始めない限り、ずっと立ち止まったままになりそうだ。
「そういや、ゆづ明日って暇?」
「明日?」
明日は特になんの予定もない。
「暇だよ」
「じゃあ、気晴らしに出かけない?ゆづ前に行きたいって言ってたパンケーキのお店あっただろ。この前できたショッピングモールの中にあるんだって」
「え、本当?行きたい!」
そういえば最近どこかへ出けるなんてしていなかった。
どうせ家にいても煌のことばかり思い出してしまう。
「あ、そろそろ教室に戻らないと」
「じゃあ、また夜電話するな」
「わかった」
午後の授業を終えてSNSを見ると、ハチの熱愛ついて事務所が否定のコメントを出していた。
腕を組んでいたのはRisaが足を挫いたから。
それから、Risaの匂わせは一方的なものだったらしい。
応援なんて言葉を口にしていたのに、どこ胸を撫で下ろす自分がいる。
ハチが幸せなら……その気持ちは嘘じゃないけれど、熱愛報道は当分見たくない。
そんな風に思った。



