私を赤く染めるのは



コメント欄は賛否両論。

《浮気や不倫じゃないなら放っておいてあげなよ》

《アイドルなら隠し通してほしかった》


SNS上ではRisaの匂わせもいくつか見つかり、ファンからの怒りや落胆の声が溢れかえっていた。

アイドルだって一人の人間だ。

週刊誌に撮られる日がくるかもしれないと心のどこかで覚悟していた。

まさか一番手がハチだとは思わなかったけど。


ただ推しの熱愛報道に私は思いのほか落ち着いていて、それどころかどこかホッとしている自分がいた。

人気アイドルBijou熱愛発覚!の見出しを見て真っ先に思い浮かべたのは煌だったからだ。

煌の熱愛が報道された時、私は今と同じように落ち着いていられるだろうか?



お昼休み、雑用帰りに一人旧校舎の階段にいると「浮かない顔してんな」そう声をかけられた。


「碧人くん!」

どうやら碧人くんは人目のないこの場所に休息を求めやってきたようだ。


「元気がないのはハチの熱愛?それとも煌?」

碧人くんは煌がうちを出て行ったこと、それから私が告白をしてフラれたことを知っている。

煌が出て行った日から、浮かない顔をしていた私をなんとか元気づけようとしてくれた朱莉と碧人くん。


そんな2人に私は全てを話した。

朱莉と碧人くんは私の気持ちに気づいていたのか、私の報告に驚く様子はなかった。


後日、朱莉からもらったのは「失恋には新しい恋をしろ」という恋愛上級者からの一言だった。