私を赤く染めるのは


ティンと高い音を奏で到着するエレベーター。


その中でお兄ちゃんに電話を掛けるも繋がらない。



結局、何の用だったのかな?



要件を伝える留守番電話やメッセージもなし。

いつもなら必ず何か残すのに。

やっぱり掛け間違い?


……まぁ、大事な用ならまた掛けてくるでしょ。

そんなことを考えていると再びティンと音が鳴り、目的の階へと到着した。


エレベーターを降り10歩ほど歩くと見える真っ黒なドア。

そこに再びカードキーをかざす。


ピッー。

ロックが解除されたのを確認してドアを開けると玄関には私の靴が一足。


どうやらお兄ちゃんはうちにもいないようだ。


置いてあった靴の横に先程まで履いていたローファーを並べリビングへと向かう。


学校帰りに買ってきた食材を冷蔵庫にしまい、お兄ちゃんがお土産で貰ったという少し変わったデジタル時計に目をやると【16:37】と表示されていた。


夕食を作るにはまだ早い。