「………」
「いくら見つめててもレジに持っていかなきゃ結衣のものにはならないよ」
「い、いらないからいいんだもん!それに、ママからぬいぐるみは買っちゃダメって言われてるし……」
「ふーん、じゃあ僕はこの可愛いイルカのぬいぐるみを買ってくるとしようかな」
「……や、やっぱりほしい。私も買う」
「うん。結衣が諦めきれないの、知ってた。元々、結衣の分を買うつもりだったんだよ」
「そうだったんだ……って、おにいちゃん、わたしのこと甘やかしすぎじゃない?こんなのバレたら怒られちゃうよ!」
「そうだね、怒られちゃうね。だからさ……」
「………?」
「―――二人だけの秘密だよ?」
……え、なに。わたしのおにいちゃん、やばすぎない?
どこに欠点があるのかまったくわかんないよ。
むしろ、できる男だってことを再認識している。



