◇ ◇ ◇
雲がいい感じに群れを成している空。
たまに雲が太陽を遮ってくれる、ほどよい晴れ。良きデート日和だ。
「おにいちゃん、今日は完璧にわたしをエスコートしてね?」
「なんでこんなことに……」
「ほら、手を繋ぐところから!ちゃんと恋人っぽくね!」
「そこまでしなくても……」
「はぁ……わたしはおにいちゃんのためにしてるのに。おにいちゃんはわたしの親切心を無駄にするんだね……ぐすっ」
「わかった!ちゃんとやるから!電車の中で泣くのはやめて!」
慌てふためくおにいちゃんは急いでわたしの手を取る。
繋がったわたしたちの手はしっかり恋人の形になった。
うん、問題ない。ここで普通の繋ぎ方をしていたら女子的にはちょっとマイナスポイントだったけど。出だしは難なくクリアだ。
……と、心の中でチェックシートに点数を記入していると、繋がれた手が軽く引っ張られ、意識を引き戻された。
どうやら目的の駅に到着したみたい。
周りの人たちもそわそわと開く扉の方に近づいていく。
あれ、この駅ってたしか……



