俺に余裕がないばかりに触れるだけのキスからだんだんエスカレートしていき、今は思考ごと奪うような激しいものへと変わった。
それでも結衣が俺に抵抗することはなく……むしろ応えるように頑張っているのがわかって止められなくなる。
「んっ……ちょっと……苦しい」
しばらくして、酸欠の状態で息を切らしている結衣を目にようやく俺の暴走が止まる。
俺とのキスで目を蕩けさせている結衣の顔は煽情的で、誘惑に負けそうになるけども。
結衣が苦しいのを無視してまで自分を優先させるほど愚かではないのだ。
「おにいちゃん、好き。大好き」
ふにゃりと力の抜けた笑みを浮かべる結衣は世界で一番可愛い。
そして、そんな結衣の笑みを見られるのはこの世界でただ一人、俺だけ。
その事実がたまらなく嬉しく、欲が満たされていく。
結衣に向ける視線の中に熱と愛おしさがこもった。
「俺もだよ。世界で一番、愛してる」
世間が俺たちを認めなくても、俺たちの愛は揺るがない。
後ろ指をさされたとしても俺は気にしないし、必ず結衣のことを守ってみせる。
結衣の首に咲く煩わしい花たちへ俺の愛情を上書きをしながら。
俺は世界を敵に回す覚悟を決めたのだった。



