「……やだ」
「なんで」
「おにいちゃんこそ、なんで離れたがるの?わたしが汚れちゃったからやっぱり嫌いになっちゃった?もうわたしには触りたくないって思うの……?」
「ちが……って、汚れたってなに?まさか、あいつになにかされたのか!?」
がばりと無理やり結衣を引き離し、結衣の全身を食い入るように見つめる。
結衣は泣きそうな顔をしているけど痛みを我慢するような顔ではない。
ひとまず、純潔は奪われていないんだと安心した。
「わっ、お、おにいちゃん!?」
……が、常夜灯のみの部屋の中でも目立つ首元にあるいくつもの赤い印に俺の理性はいよいよ消え去り、勢いのまま結衣をベッドに押し倒す。
―――イライラする。
結衣が悪いわけじゃないとわかっていても抑えられない苛立ちを……行き場のない苦しい気持ちを、俺はどうしたらいいのかわからないんだ。
「そういえば、まだ消毒をしていなかったね。結衣の中からあいつを完全に消してあげないと……」
「おにいちゃ……んっ」
本音を言えば今すぐあいつのところへ行って、この世界から消してやりたい。
でも、結衣はそんなのを望んでいないから、結衣の中のあいつを抹消させるってことで妥協してあげる。



