「……結衣の傍から離れるなんてあるわけないでしょ」


一瞬、ぐらりと自分の欲を満たす側の選択に傾いたけど、今日の怖い出来事を思い返すと結衣の精神衛生上それはよくないと一生懸命に理性を働かせた。

しかしその頑張りも虚しく、そのあとすぐになぜか僕の首に腕を回して体重を預ける結衣がいて、脳内はパニックに陥る。


「ゆ、結衣?なにをしてるの?」

「離れていかないで」

「離れないって言ったでしょ?早く離れてちゃんとベッドで寝なさい」


じゃないと僕がなにをしでかすかわからないんだから。

僕は僕が恐ろしいし、簡単に理性を奪ってしまう結衣も恐ろしいよ。


それなのに、結衣は僕の言っていることも心も無視して腕に力を込める。

そんなに可愛いことをされたら暴走して滅茶苦茶にしてしまうからどうか離れてほしい。

お互いの安全のためにも、ね?どうかお願いだから言うことを聞いてくれ。