「おお、そうでした、元気な姫君にはじっとしていただかないと」
知徳法師がふっと空に息を吹きかけるとどこからともなく小さな6本足の妖がやってきた。
そして一瞬で私と桔梗さんの両腕と両足を縄で絞め身動きが取れないようにした。

「ちょ、なにすんの!」
「だからじっとしていただくために、ですよ」
そう言うと知徳法師は部屋を出て行った。

こんなの、あり?
私、どうなるのよっ。

知徳法師が出て行って少しして、桔梗さんんはあたりに誰もいないことを確認するように左右を見る。
それから微かな声で耳元で言った。
「時親様を呼んで参ります。
それまでおひとりになってしまいますが、我慢していただけますか」

「え?呼んでくるってこんな状況でどうやって・・・」
「大丈夫です」
そう答えると桔梗さんはなんとかして自分の髪の毛を1本抜いて口にくわえる。
そして呪文を唱えると大きな煙が立ち上がった。

「桔梗さん!?」