良介はその後ろ姿を見送り、キツネのお面を外した。


「この調子でモヤが広がっていけば、町全体から良介さんが狙われるようになる」


「あぁ、わかってる。あのモヤの正体がなんであるかわかればいいんだけれど……」


でも、それをどうやって調べるか?


神事が廃れ行く世界で、裏鬼門のことを調べることなんてできるのか?


様々な不安がよぎっていく。


それでも良介は立ち上がった。


ぼんやりしている暇はない。


ダメ元で動くしかないんだ。


「稲荷さん、この町で一番大きな図書館へ連れて行ってください」