「そんな、嘘でしょう!?」


焦りの滲んだ声を上げる大倉先生を、良介は取り押さえた。


大人の大倉先生を取り押さえられるか不安だったけれど、モヤが消えていくことに愕然としている先生は簡単にヒザをついた。


「祖母のかたきを討とうとしただけなのに、どうして!?」


両目からボロボロと大粒の涙が溢れ出して、それを見ると良介の胸は痛んだ。


大倉先生もきっと辛かったんだ。


村八分にされて仕事を奪われて死んでいった祖母のことを思うと、いたたまれない気持ちになる。


でもそれなら、この町の人たちにまた思い出させればいいんだ。


昔の過ちをなかったことにさせなければいい。


「これでようやく解決ね」


その声に顔を向けると、青ざめた稲荷がかすかに微笑み、そして目を閉じたのだった。