いつからこんな想いが芽生えたのかなんて、誰かに聞かれても答えることはできない。ただ、気が付けば幼なじみの宮水琴葉(みやみずことは)を見ると胸が高鳴って、少しでも話せると嬉しかった。

そして俺、葉桜雄飛(はざくらゆうひ)は気付いたんだ。琴葉のことが好きだって。恋をしているんだって。でも、それが今では苦しいんだ……。

十二月、冬休みが近付いた教室はいつもより騒がしい。みんなクリスマスの過ごし方をそれぞれ考えているんだろう。

琴葉も友達数人の輪の中に入り、クリスマスをどうするか話している。その楽しそうな横顔を見つめて胸を高鳴らせていると、「ストーカーみたいでキモいぞ」と友達の腕が肩に乗せられる。

「……重いんだけど」

友達を睨むと、「そう怒るなって!」と返された。そして話題を逸らすかのように、「クリスマス、幼なじみちゃんを誘わないわけ?「俺と聖なる夜を共にしないか?」ってかっこよく誘えよ〜」と言われる。誰がそんな小っ恥ずかしい台詞を言うか!思わず殴りたくなった。