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【天界】


紅蓮と白蘭が結ばれてからというもの私は上手く祝うこともできず新月の酒も飲みにいかなくなった。


ただ、たびたび人間界にいってはあの家で一人で暮らし白蘭との思い出に浸った。


天空石は光ることもせずに私の手の内にある。


紅蓮は良い神だ。自分の想いを真っ直ぐに伝え玲心の婚約でさえ破棄できる行動力、皇太子であり戦神、私とは違う。


私はといえば真逆だ。許婚との婚約も破棄できず白蘭への想いも伝えられなかった。



月が綺麗だ。なんて、そんな回りくどい言い方しかできない。


「私はなんと情けない男なのだ…」


だが、白蘭も紅蓮も私の大切な二人だ。


両想いであるのならば幸せになってほしい。今は祝えずとも百年も経てば傷も癒えよう。


そう月影は自分に言い聞かせた。