それに、あの黒い男は私を密かに守っているのだ。


前に馬にひかれそうになった時も急に馬が落ち着いたり、盗賊が現れた時もどこからか剣が飛んできて私を守った。


きっとあの男だわ。


なんの目的があって私のことを見守るのかしら。今日こそは本人の口から訳を聞いてやる!


薬を売り終わると私は人気のない川岸へと向かった。


耳を澄ますと密かについてくる音がする。


だが、後ろを振り返っても誰もいない。これは絶対に姿を見せない気ね。


剣を持っていたし、武術もある。剣士かしら?きっと相当の腕ね。


そこで私はわざと苦しむふりをした。


「うぅっ」


川辺にわざと倒れ込み胸を押さえた。