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【人間界】



初めて人間界に来た。白蘭の面影を探し紅蓮は街をふらふらとさまよった。


頭の中に白蘭の楽しそうな声がする。


人間界では法術を使ってはいけないこと。薬の売り方や店のこと。嬉しそうに話していたな。


一緒に人間界に行きたくなかったわけではなかった。


あまりにも楽しそうに話す白蘭が可愛くて、ついいじめたくなったのだ。


あの頃は、お互いの気持ちを知らずにただの皇太子と侍女だった。


私が、からかうと顔を赤くする白蘭が好きだ。


思い出し顔に笑みが漏れる。


見知らぬ人間界でも白蘭が愛した場所であるとわかると自然と紅蓮も好きになっていた。