なのに紅蓮は私を見るなり、失せろと言った。
夫婦になったつもりはない。とも言った。
なぜなの?二千年も想い続けてやっと、あなたの妻になれたのに…。
死んでもなお白蘭は私の邪魔をするのね。
「白蘭めっ!!」
怒りのあまり部屋にある調度品にあたる。調度品は大きな音を立てて壊れた。
音に気付いた炎狐族の双子、蘇芳と璃桜が部屋に入ってくる。
「玲心様、いかがしましたか」
この双子も難儀な者だ。幻覚獣の間での一件で紅蓮の鳳凰の羽にあたったのだろう顔に火傷を負い今は布で顔を隠している。
これではもう紅蓮の後宮には上がれまい。
心の中で玲心は笑った。


