「その…薬はつくれないから売りに行こうと思って街に行ってきたの。…役に立ちたくて…心配かけてごめんなさい」


素直に謝ると月影はいつものように穏やかになった。


「白蘭…。私のためにしてくれたのか…ありがとう」


そして視線を昨日作った饅頭に向けると笑った。


「あの饅頭も白蘭が?」

「ええ」

「先ほどは怖がらせて、すまなかった。つい奴に苛立ってしまって…」


優しく私の手を握ると椅子に座らせる。


いつもの月影だわ。


「いいえ。勝手なことをした私のせいよ…ねえ。聞いてもいい?先ほどの人は誰なの?」


すると困ったように彼は笑った。


「悪い奴だ。魔界の者で、かつてそなたを傷つけた奴の一人だ。」


私のことを傷つけた…?