男は急いで近づいてくると私を抱きしめた。
力強い腕、月影とは違って少し強引さを感じる。
ずっと待っていた。心地よい腕の中。
突然、チリっと背中が痛んだ。そして男への恐怖。
一緒にいてはいけない。
「っ!」
私は男を突き放すと走って家への道を逃げた。
「白蘭!?」
男もすぐについてきた。
なんだろうこの複雑な気持ちは。先ほどまでは心地よかったのに、急に来た恐怖に私の脚は止まらなかった。
家が見えてきた、月影の姿もある。
「白蘭!」
「月影!!」
月影の胸に飛び込み、それを彼はしっかりと受け止める。


