牢番の衛兵は多く厳重だったが、月影が義母との最後だからというと簡単に通してもらえた。


すぐにボロボロになった天后が目についた。かつての威厳は無く、明日死ぬと決まると無駄な抵抗は無意味だとわかったようだ。


法術封印の牢につながれた天后を上から見下ろすも何も言葉を発しなかった。


つまらない。


「義母上?」


呼ぶと静かに天后が目線だけこちらに向けた。


「今どのような、お気持ちですか?父上に謀反人と思われ大門前で斬首刑とは…」


かつて自分が陥れた白蛇族と同じ末路をたどるなど天后は思いもしなかったことだろう。


天后の目を見ながら月影は静かに笑った。