「なぜ天界の第二皇子がここに?」
「…なぜだかわかるか?」
「もしかして薬師神を解放するために?」
どんな神かと思ったら薬師神か。癒すことばかりに長けた薬師神ならば捕まっても仕方ないか。
月影は法術を使い瞬時に間合いを狭めると玲心の首を掴んだ。
玲心は一瞬の出来事に息をのんだが、すぐに反抗的な目を向けてきた。
「いますぐ白蘭の羽を返せ」
「嫌よ」
「最近、私は誰かを従えることを覚えたのでな。お前がどのようにすれば従うのかわかるぞ。このまま首を折るだけだ」
「私を殺せば魔界と戦争になるわよ」
「そんなこと恐れるものか」
「なぜ白蘭の羽が欲しいの」
「…」
少しの沈黙で玲心は月影の心の内を悟った。二千年も片想いをしている玲心は月影が白蘭を好いているとすぐにわかった。


