白蘭を失ったことで喪失感が紅蓮に付きまとう。
いまだに遺品をまともに見ることも出来ない。
白蘭が死んですぐに母上が私と玲心の婚姻を結びなおし、いつの間にか婚儀は終わっていた。
どうでもいい。
白蘭がいないこの世界に私は何も無いのだから。
「紅蓮様」
「…なんだ」
虹彩樹の庭の外から朱雀が話しかけてくる。
この数年で何人も私を励ましに来たり説得しにきたり、はたまた取り入ろうとするものまで現れた。
私は黙って無視しそいつらはしばらくするとどこかへ行った。
「紅蓮様、いつまでそこにいるのですか。何年このまま食事もとらずにそこで白蘭を想っているのですか」
「…」
叶うのならばこのまま餓死してしまいたい。


