「貴妃様が謎の病に倒れたそうで…」
「貴妃様が?」
「しーっ…声が大きい」
「それで?」
「それで、名医である龍先生を探しているらしいの」
「月影を?でも今は不在だわ」
月影は今、天界に出かけていていつ戻るかわからない。薬も月影が作り置きしてあったのを売っているだけだし。
「しってるわ。だから不在と伝えたのよ。それに白蘭も気を付けるのよ」
「私?薬は簡単なのしか作れないし医者じゃないから無関係でしょ?」
「王家が関わるんだから何がおこるかわからないわ。もし皇宮に連れてかれでもして貴妃様を治せなければきっと死罪よ…。皇宮とは、それだけ恐ろしい場所なのよ。しばらく薬は持ってこない方がいい…それと龍先生が戻ってきたらすぐにこの街から離れなさい」
月影に貰った龍の鱗の腕輪を触った。
『何かあればこれを千切るのだ。そうすれば私がすぐに駆け付ける。よいな』
月影の言葉が脳内を巡った。
貴妃様を助けたい。月影の腕は確かだが、もし治せなければ死罪になる…。
恐れた白蘭は千切るのをやめた。


