席を立とうとする白蘭の衣を木蓮がつかんで止めた。
「いい?白蘭、こういう場合はもう何事もなかったかのように振舞うのが一番よっ」
「そうなの?」
「経験上、話をぶり返すとよくないわ」
たしかに木蓮の言う通りかもしれない。
納得し座りなおすと食事処に珍しく王都からの衛兵が来た。
この街は王都からだいぶ離れている。
少数とはいえ王都からわざわざ衛兵が来るなんて…。
木蓮さんがすぐに出迎えて、衛兵はなにやら話を数回交わすと帰っていった。
何事かと見守る白蘭の元に会話を終えた木蓮がすぐに来た。
「どうしたの?わざわざ王都の衛兵が来るなんて」
木蓮は周りを警戒した後、小声で言った。


