いつも通りに善良な月影に天帝と天后は満足したようだった。 「そうか。そなたは善良であるな」 「恐れ入ります…父上」 「やはり、兄上は素晴らしい人です!」 何も知らない氷輪も今の月影には憎く思えた。 「では、私は失礼します」 礼をし天帝と天后に背を向けた瞬間、月影の作り笑いは消え失せた。 …殺してやる。お前たちは母上を、一族を、天女様を殺した。 私が必ず殺してやる。 静かに天宮を去り自分の宮に戻った。 「月影様」