白蘭が生きていたことを教えようとも思ったが、紅蓮のあの姿を思い出しやめた。 心の整理がつかない主に変わって言うのはどうかと真面目な朱雀は考えたのだった。 朱雀は無言で香林に首を横にふった。 「…そうですか」 しばらくの沈黙の後、気配がし振り向くと玲心が皇太子宮にきていた。 「…玲心様」 香林が玲心に礼をする横で朱雀は堂々と立って見つめていた。 玲心からは微かに血の匂いがした。戦場に身を置いて長い朱雀には香で隠していてもその匂いはわかった。 また誰かを殺したな。