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【魔界】


雛鳥だったときから紅蓮様と一緒だったが、初めて見る主の悲痛な姿を見かねて朱雀は皇太子宮を去った。


「ふう…」


白蘭が生きていたのは友として素直に嬉しい。


だが事はそう単純でもないのだ。天女の子が生きていたとなれば天界も魔界も大変なことになる、私は主である紅蓮様を尊重しなくては。


「朱雀様」

「ああ、香林か」


香林もかつて白蘭と親しい仲だった。よく二人が茶を飲み語っているのを目撃した。


そして朱雀は軍を率いていることから、黒豹族の香林とは魔宮に来る前から面識があったのだ。


あまり話さなかったこの娘も白蘭と出会ってから、よく会話をするようになった。


「皇太子殿下は大丈夫ですか?」


今の香林は紅蓮様の唯一の侍女だ。


ふらふらと白蘭を想いさまよう紅蓮様を陰ながら支えていたのだ。


実に健気なものだ。