自分で自分の心を慰めながら二人を眺めていると、店の扉が軽やかに叩かれる。



「号外〜!号外〜!」



 その声に師匠は涙を拭いながら扉を開けて、扉の前に立っていたおじさんから新聞を受け取った。


 ご苦労さまと労いの言葉を掛けながら扉を閉め、手に持つ新聞に早速目を通す。



「ほう……またレイバート王が攻め入ってくる敵国シェルバム国の兵士を退けたか〜やるねえ」



 見出しに大きく書かれた文字を読む師匠の声は、少しだけ楽しそうに聞こえてくる。


 平和が流れる日常の中で、争いが起こっているという事実が、時々お話を聞いているかのように思えてきてしまう。


 私の暮らすセリオリア国は盛んな貿易や、国独自の特産物のお陰で国は潤っている。


 そんな領地を欲する隣国は数知れず、国同士の争いごとが巻き起こることは暫しあるんだとか。