「……あ、はい。 その節はお世話になりました」
わたしがそう告げると、天野川大翔はカップを拾いながらわたしに「君、おっちょこちょいなんだね」と言ってきた。
「え……そうですか?」
「そうでしょ? 俺の目の前でニ回もやらかしてる訳だしさ」
「……で、デスネ」
と答えると、彼は「なんでカタコト?」と言いながら笑っていた。
「店員さん呼んでくるよ、ちょっと待ってて」
「あ、すみません……」
天野川大翔が店員さんを呼びに行ってる間、わたしはパソコンや資料をカバンにしまいこんだ。
「お客様、おケガはありませんでしたか!?」
その時、店員さんが慌てた様子で布巾を持って走ってきた。
「あ、だ、大丈夫です……。すみません」
「いえ、拭いちゃいますね」
「あ、ありがとうございます」
なにやってんの、わたし……。確かに天野川大翔の言う通り、わたしはおっちょこちょいなのかもしれない……。
会社でもたまに、転んだり言い間違えたりするし。 やっぱりわたし、おっちょこちょいなのか……。
なんか悲しい……。トホホッ。
「新しいの持ってきますね」



