天野川さんから紙袋を渡されたお母さんは、その中身を見て目を見開いた。
「えっ!? あ、これって……」
「山形屋のバームクーヘンです。 父親の大好物でして、父親が持って行けと」
「あら、ありがとうございます」
山形屋のバームクーヘンって……。マジか!?
「所であの……。娘とはどこで知り合ったのですか?」
「娘さんとは、とあるカフェで会いまして。そこで知り合って、仲良くなりました」
と天野川さんが言うと、お母さんは「あら、そうなんですか」と言った。
「由紀乃さんはとても明るくて、スイーツを食べている姿が印象的で……。思わず由紀乃さんの姿に、見惚れてしまいました」
「あらあら、そうなんですか……」
ええっ……。なんか全然エピソードが盛られているような気がする。
「あの、お母さん。由紀乃さんと結婚させてください。……必ず、由紀乃さんを幸せにします」
真剣な眼差しでお母さんにそう告げる天野川さんを見て、わたしはちょっとだけドキドキしてしまっていた。
今まで感じたことのないドキドキで、胸が一杯になりそうだった。



