「ん?」
大翔さんはそのあるものを見た瞬間、目を見開いて「え、由紀乃。これって……」とわたしを見る。
「うん、母子手帳」
わたしの一言に、大翔さんは「もしかして、由紀乃……」と聞いてくれる。
「うん。……赤ちゃん、出来たの」
わたしはお腹に手を当てると、微笑んでみせた。
「本当か? 本当に……ここに俺たちの赤ちゃんがいるのか?」
「うん。病院に診てもらったから、間違いないよ。今六週目だって」
大翔さんはわたしのお腹に手を当てると、「そうか……。ここに、俺たちの赤ちゃんが……」としみじみしたような表情を浮かべている。
「うん。まだ信じられないよね」
「でも……すごく嬉しいな。俺たちの家族が、増えるんだもんな」
「……うん、わたしも嬉しい」
ここに大翔さんとわたしの赤ちゃんがいる。大事な家族がもう一人増える。
こんなに嬉しいことなんて、本当にない。
「由紀乃、本当にありがとうな」
「えっ?」
大翔さんはわたしのおでこに軽くキスをすると、「これからも由紀乃とこの子と三人で、明るく幸せに暮らそうな」と微笑む。
その言葉にわたしは、「うん。この子が産まれたら、わたしたちの人生は今よりももっと素敵なものになるね」と大翔さんを見つめると、二人でお腹を優しく擦りながらクスクスと笑い合った。
「由紀乃、愛してる」
「わたしも、世界で一番愛してる」
わたしたちは再び、唇を重ね合った。
【THE END】



