「いやいや、イベント用のものだからって手は抜いてないよ。しっかりとした見た目にもこだわってるし、このソースも味の違うものを三種類も用意するなんて普通なら出来ないと思うよ」
わたしは恐縮だなと思いながらも「そう言ってもらえて、光栄です」と言葉を返した。
「ではいただくね。 いただきます」
「このソースが右からティラミスソース、ベリーソース、黒ごまソースとなっています。 お好きなソースをかけて食べてください」
目の前でオガタ・カナデさんがわたしたちの作ったスイーツを食べてくれることすらも夢のように感じてしまうけれど、わたしたちが一切の妥協を許すことなく完成させたスイーツだ。
「……うん。美味いね、これ」
だからオガタ・カナデさんに美味しいと言ってもらえて、光栄しかない。
わたしたちが一生懸命考えて作ったこのスイーツは、スリーデイズの新しい門出になると信じている。
「本当ですか?」
「特にこの黒ごまソースがたまらなく美味しいよ。フルーツが乗ってる所にかけて食べたんだけど、黒ごまの風味の奥に何かコクのような深みを感じるんだけど……これって黒糖?」
「いえ、黒糖ではなく黒蜜を使っています」
わたしがそう答えると、尾形さんは「なるほど!黒蜜か。 だからこんなにコクと深みがあるんだね」と微笑んでくれた。
「黒蜜が入ってるからかな。フルーツにかけて食べると、まるであんみつを食べているかのように感じるね」



