「……っ、本当に?」
「ああ。由紀乃とみんなの想いがたくさん詰まった、最高のアップルパイが出来たと、俺は思う」
だめだ。こんな言葉を聞いてしまったら泣いてしまう。
「由紀乃が作りたいと思うアップルパイは、最高のアップルパイだよ。……スリーデイズの看板スイーツに相応しい、最高のスイーツだよ」
「っ……嬉しい」
大翔さんは「由紀乃、これは何度でも食べたくなる最高のアップルパイだ。 俺が保証する」とわたしの頭を撫でてくれた。
「……大翔さん」
「俺が立ち上げたスイーツ開発部のメンバーに、由紀乃がいてくれて本当に良かったと思ってる。 由紀乃がアップルパイを作りたいと言ってくれたから、俺たちはここまでやってこれたんだ。こんなに美味しいアップルパイを作れるなんて、正直思ってもなかった」
わたしもこのプロジェクトに参加するまでは、こんなに美味しいアップルパイを作りたいなんて思ってなかった。
母の味を再現出来ればいいと思っていたけど、そうじゃなかった。 母の味よりもっともっと超えた美味しいアップルパイを作りたいと思えたのは、大翔さんのアドバイスのおかげだと思う。
「大翔さん、その言葉をもらえるだけで、わたしは嬉しいよ。……ありがとう、大翔さん」
「由紀乃はもう、スリーデイズの立派な社員だな」
わたしは大翔さんのその言葉に、「えっ……?」と大翔さんを見つめた。



