【完結】クールな副社長に、一億円で愛されることになりました。〜アップルパイに幸せと愛を乗せて〜



「い、いえ!大丈夫です……!もう出ますから!」

 わたしは「失礼します!」と伝えてカバンを持つと、急いでお店を出た。

「……はぁっ」

 少し歩いて、ため息をついて立ち止まる。

「全然集中出来なかった……」

 スイーツも食べ損ねたし……。スイーツを食べていないから、元気が出ない。 
 
「何か甘いもの、食べに行こうかな……」

 そう思って歩きだそうとしたその時ーーー。

「なあ、そこのアンタ」

「え?」

 誰かがわたしに声をかけてきた。振り返るとそこには……。
 
 え……? あ、天野川大翔っ!?

「……え、なんであなたが?」

 天野川大翔が、なぜかわたしの前に立っていた。

「ちょっと話があるんだ」

「え……わたし、ですか?」

 と声を出すと、天野川大翔は「お前以外に誰がいるんだ」と言い返してきた。

「で……ですよね」

 何言ってるんだ、わたしは……。

「ここじゃなんだし、ちょっとカフェにでも行かないか?」

「……まぁ、はい」
 
「じゃあ行こうか」
 
 一体この人は、わたしになんの話があるというのだろうか……?
 そう思ったけど、言われるままにわたしは彼の後を着いていった。