天城兄弟、お見通し。








はじまりは2か月前───パパの転勤が決まった6月のこと。




わたしのパパは、仕事はできるけれど生活能力が全然なくてママがいないと何にもできない人だった。

県外への転勤が決まったことで、専業主婦のママもパパと一緒に引っ越しをすることになった。




「麗羽はどうする? お友達と離れたくないなら残ってもいいのよ。学校の寮もあるし、叔母さんにお願いしてみるでもいいし、この家で一人暮らしするのでも……」




ママとパパに転勤の話をされた時、てっきりわたしも強制的に転校しなくちゃいけないと思っていたから、ママにそう提案されて正直ちょっとだけびっくりした。




今通っている高校は、制服がかわいくて気に入っているし、あずちゃんやこっぴとも仲良くなったばかり。

転校しなくていいなら、わたしはここに残りたい。



その旨を伝えると、ママもパパも少し寂しそうにしていたけれど、「麗羽ももう高校生だもんね」と納得してくれた。



ママたちが転勤するのは7月末らしく、わたしもそれまでにこれからどこで生活するか決めようということで、その日の家族会議は終了した。