「あれ、れん。漫画は?」
「読んだ。つーかナナ、うるはのこと困らせんのやめろっていつも言ってんだろ」
「あーあ、でたでた。れんの彼氏面、ホントきらい」
「はあ? そんなんナナに言われたくねえから」
キッチンに顔を出した蓮斗。怪訝そうに眉を寄せてナナくんを睨むと、彼はわたしの腕を引っ張って自分のほうに寄せた。
…はあ、もう。
ふたりで仲良く本屋に寄って帰って来たかと思ったのに、何かあるとすぐにこう。
「仲が良いのか悪いのかわかんない」ってあずちゃんたちが言っていたけれど、「どっちも正解」だから「わからない」のだと思う。
「うるはも、ナナがこういうやつだってもう十分わかってんだろ。あんま距離詰めると食われんぞ」
蓮斗がぺしっとわたしの額を打った。
しかしながら、まったく痛くない。
一応、心配してくれているのはわかったから、「ありがとう?」と曖昧に返事をした。



