恋の終わりは 【恋に焦がれて鳴く蝉よりも・番外編】

 そう熱く語ると、レイはキッチンに向かい
棚からカップラーメンを取り出した。それを、
両手に持って紫月に見せる。

 「これ、醤油味とシーフード。どっちが
いい?」

 その問いに紫月は肩を竦め、苦笑いした。
 どうやら、食べることは決定らしい。紫月
は少し迷って、醬油の方を指差した。

 「OK。じゃあ、お湯沸かすから、向こう
のソファで待っててくれる?」

 「いいえ、私も手伝うわ。ケーキを切らな
きゃいけないし」

 やかんを火にかけ始めたレイにそう言う
と、紫月は袖をまくりながらキッチンへ入
った。大理石の流し台に置いてあった紙袋
から、人参ケーキを取り出す。

 「じゃあ、お願いしようかな。皿はそこに
入ってるから、自由に使って」

 「わかったわ」

 レイの指示に笑みを返すと、紫月は棚を
開け、縁が花びらのように模られた白い
皿を選んだ。






 
 「そろそろ3分経ったかな」

 カップラーメンを前に、二人でソファに
肩を並べて座ると、レイは腕時計を見て
言った。発泡スチロールのカップから
そっと紙の蓋を剥し、覗いてみる。

 ふやけた麺はほどよくスープに浸かり、
同じく、ふやけた卵や小さななるとが
載っている。紫月はパチリと割り箸を
割ると、それを手に、両手を合わせた。

 「いただきます」

 そう言って、割り箸で麺をつまむ。
 実は、日本でカップラーメンを食べる
のは初めてで、どきどきしている。

 ほかほかと、香しい匂いを放つそれを
口に入れると、紫月は思わず目を見開いた。

 「うそ、美味しい」

 「でしょう!?」

 紫月の感想に、隣で見守っていたレイは
満面の笑みで頷いた。そうして、自分も
カップ麺を啜る。ずるずると、美味しそ
うな音と共に、ほんわかと魚介の香りが
漂ってくる。

 「旨い!やっぱり、イギリスのとは比べ
物にならないね。スープも出汁がよく効い
てる」

 そう言って美味しそうにまた、麺を啜る。

 その横顔を見つめながら、紫月は、ふと
笑って言った。

 「確かに、イギリスのカップ麺は口に
合わなかったけど、でも、カップ麺以外
なら美味しいものは沢山あったわよ」

 そのひと言に微笑んで、レイが紫月を
覗いた。

 「例えば?何が美味しかった?」

 「そうねぇ……昼休みに大学の芝生で
食べたミートポテト。あれは、また食べ
に行きたいくらい美味しかった。ほくほ
くのじゃがいもをナイフで解しながら、
ミートとチーズを混ぜるの。とっても
大きなじゃがいもだけど、ぺろりと
食べてたわ。あとは、毎朝パンに塗る
マーマレード。オレンジの皮が少ない
んだけど、さっぱりしてて、甘酸っぱ
くて。薄いトーストに塗るのが好きだっ
たの。あの味は、日本で探してもどこに
もないわ」

 数年前の、ロンドンの記憶を手繰り
寄せながら、目を細める。