君が生きていれば、それだけで良かった。



 でも炎上の終わりは見えなくて、そのわりに走ることやストレッチの習慣は抜けなくて、きょう一日自分が何をしたか分からないまま、一睡も眠れず朝を迎える。

 気が付いたら寝ていて、気が付いたら起きている。その繰り返しだった。

 でも、縁川天晴(えんがわあまはる)の部屋では何もかもが出来ない。結局あれから、彼は私の為に布団を持ち出して敷き、そこで寝た。

 私はベッドで寝ることになったけれど、そもそも死にぞこなった私に睡眠が必要なのか分からず、適当に目を閉じていたら「推しの寝顔だァ」なんて声が聞こえてきて、気づけば朝になっていた。

 それから朝ご飯を食べるため一回に降りた縁川天晴を見送り、窓の外を眺めていた。今日も変わらず世界は霧雨に包まれていて、泥混じりの雨の匂いがきつい。

「お待たせしましたぁ!」

 しばらくして戻ってきた彼は、昨日クローゼットのふちにかけられていた学ランに身を包んでいる。

「行くの、学校」