君が生きていれば、それだけで良かった。


 息を吐いて、私は刃物を手に取った。かまってちゃんの自傷行為なんて言われる方法だけれど、脈を狙えば大丈夫なはず。私は最も具合がよさそうなところを狙って刃物をあてた。

 目を閉じて、最後に出たライブの写真を使いながら「若手アイドル  自殺」とテロップ付きで流れるところを夢想する。

 よし、早く死のう。だってこれ以上生きているのは無理だから。

 最後の力を振り絞るという表現があるけれど、まさしく今、私はそれをする。刃をあてただけで、ひりついた痛みを感じた。このまま強く引けばいいはず。私は思い切り力を込めて、刃物を掴む腕を動かした。