君が生きていれば、それだけで良かった。



 仕事が忙しくて通えないという理由以外にも、通えたとしても休みがちになってクラスから浮いてしまうとか、早い話がいじめられるとか。芸能系の高校に行くのが一番だけど、どうしたって定員はある。中々ままならないようだった。

「あかりちゃんはあれですよね。高校すごく偏差値高いところですよね! 俺そこに編入したかったんですけど、頭悪くて駄目で……」

 私は、普通科の高校を入学していた。芸能系に行く手もあったけど、色んな経験をしてアイドル活動に役立てるべきだと前のマネージャーがずっと話をしていて、私もそう思って受験した。

 勉強と仕事の両立は大変だったし睡眠不足とかのレベルじゃなかったけど、歌詞を書いたり作曲するとき、普通の学校生活を観察できるのはありがたい。通えてよかったと思っている。友達は……うっすら、移動教室の時に話しかけてくれる子はいるし、仕事が忙しくなるにつれ芸能活動に無関係な知り合いはどんどん減っていったから、新鮮で楽しかった。

「でも、まさか兄のお見舞いに行ったら、あかりちゃんに会えるなんて」

 縁川天晴は私ではなく、壁には一面に並べた私に語り掛けた。コラボした栄養剤が飲まずに並べられ、CDはそれぞれ五枚ずつ本棚にしまわれている。

「これ全部バイト代で?」

「いえ、バイト禁止されてるんで」