君が生きていれば、それだけで良かった。


 第一声に迷った末に出てきたのは、この世界で何百回と繰り返されていそうな、月並みとしかいえない言葉だった。

「こんな、並べて。学校の人とかその、遊びに来るときとかどうしてるの?」

「普通にいれますよ! 友達がいたら!」

「いたらって?」

「ネットは他担の友達とか……いるんですけど、学校は……推し活で忙しくて、あんまり」

 卒業できるか不安というのは、学力の意味合いじゃなかったのか。だとすると、思い当たる理由は──、

「不登校……?」

「いくらあかりちゃんでも直球すぎますよ。傷つきます。たまに、たまには行きますよ。あ、明日とか行きますし」

 縁川天晴は心臓を押さえて、さすって見せる。不登校、言われてなるほどとも思ってしまった。彼は、なんというか浮世離れというか、制服を着て学校に通っているのがイメージしづらい。

 部屋に視線を向ければ、ブロマイドに重ならないよう、真新しい制服がクリーニング店のタグを付けられたままかけられている。