喜びに溢れた言葉に、目の奥が熱くなった。

 身体は病室にある。涙なんて流れないはずなのに、視界が滲んで私は男から目をそらした。

 私は、生きてて良かったなんて思えない。死ななければいけなかった。

 乾かすための涙なんて出ないはずなのに、気休めに私は顔を上げた。

 夕焼けはだんだんとオレンジから深海のような群青色に染まっていき、遠くでは烏の声が聞こえてくる。

「いつになるかは分からないけど、そのうち死体になるから……応援してくれて、ありがとうございました」

 私は彼から離れ、病院の中へ戻ろうとする。