君が生きていれば、それだけで良かった。


 もしかして、幽霊か何か……?

 でも、周りの人は「声大きい」と顔をしかめているから、多分生きているはずだ。

 男は私の目の前に立つと、その瞳をキラキラさせながら私を見つめてくる。

 背後には壁しかないことも手伝って、私を認識しているのだと確信するには十分だ。でも、当然他の人は男が壁に向かって声を荒げ、ただ目を輝かせているようにしか見えない。

 周りにいる人たちはみな、看護師や警備員を呼ぼうと動き出し、男を警戒していた。

「お、俺ずっとファンで、え、えっと最初からCDも買ってます。さ、最初のホールのライブ、行きました! えっと……」

 彼は私のファンらしい。