君が生きていれば、それだけで良かった。


 あの水色のパジャマの女の子は、手術をしないと助からないのか。

 でも、生きたくても生きられない人がいても、私は死にたい。

「え……、あ、あかりちゃん……?」

 聞こえてきた呟きに、振り返る。

 私から三メートルほど離れた廊下のむこう、ぼさぼさの髪に、季節感がまるでないパーカー姿の冴えない男が立っていた。童顔で華奢だからか、目を丸くしていると、幼く感じる。

 背は高いけど年は同い年くらい……もしくは相手のほうが年下かもしれない。

 長すぎる前髪から僅かにのぞく瞳は爛々として、肌は白く陰気さをより一層引き立たせている。

「あかりちゃんだ!」

 男は声を上げ、興奮した様子で駆けてきた。線香の香りを強く感じる。