君が生きていれば、それだけで良かった。


『面会終了、十五分前をお知らせいたします』

 重苦しい空気を切り取るように、柔らかなピアノのメロディーが響いた。病室内にアナウンスが流れる。
 患者の負担にならないよう、けれど面会時間を延長することもないよう調整された音色に、マネージャーはほっとした顔をした。

「あの、上司と相談してきますのでっ」

 そう言って、踵を返しマネージャーは去っていった。

 難しい役割を背負わせてしまった。

 私が完遂していれば炎上もすぐ納まり、会社への風当たりだって弱まっただろうに。

 死ねなかったせいで、かけたくなかった迷惑がどんどん積み重なっていく。