当然だろう、俺だって何が起こったのかパニックを起こしているんだからな。

「亜紀の結婚相手?理樹以外にいるのか」

「亜紀が振られたと勘違いをしたとの事だ」

「元彼か」
「ああ、そうだ」

「それで、亜紀とは話を出来たのか」

「いや、出来ていない」

そうだ、亜紀の気持ちを聞いていないのだから、何が真実かわからないじゃないか。

俺は少し、光がさしてきたような感覚を覚えた。

まずは亜紀の病状が心配だ。

俺は毎日亜紀の入院している病院へ足を運んだ。

看護師に知り合いがいたのが、不幸中の幸いだった。

その看護師が調べてくれた結果は貧血が原因で、血液の検査をしているとの事だった。

「なあ、命に別状はないんだよな」

「それは検査の結果次第だから、今の時点ではなんとも言えないわね」

「そうか」

「ねえ、水本亜紀さんは東條くんのなんなの?」

滝本総合病院の看護師、三船あやかは俺の大学時代の同級生だ。

「俺の結婚相手だ」

三船は急に笑い出した。

「やだ、冗談はやめて、水本さんは刈谷さんと結婚するって言ってたわよ」

「亜紀がそう言ったのか」