俺は刈谷秀、亜紀と二年間付き合っていた。

俺も亜紀も恋に奥手で、プラトニックな関係から進まなかった。

ある日俺は自分のマンションへ亜紀を誘った。

今日は亜紀とキスするぞと意気込んでいた。

しかし、DVDを見ていた亜紀の目は真剣そのもので、とてもじゃないがキスする雰囲気は微塵も感じられなかった。

亜紀は本当に俺のことが好きなのかなと疑い始めてしまった。

好きな女が出来て別れようと話を持ちかけたなら、きっと取り乱していやよと涙でも流してくれると思っていた。

ところが、別れ話をすると、亜紀はあっさりと「わかった」との返事だった。

嘘だろ?このまま俺達終わりかよと驚きを隠せなかった。

でも、そのまま亜紀と別れる事になった、俺は好きな女なんか出来ていないし、

亜紀と別れたいなんて思ってもいないのに、いいのかよ、このままで。

俺達は別れた。

少しの望みにかけてみたが、亜紀からはその後、何の連絡もなかった。

「嘘ってどう言う事?」

「俺は亜紀を試したんだ、全く愛情を感じられなくて、すごく不安になった」

「私は秀があまりにもあっさりしてるから、私の事好きじゃ無いんだと思ってたの」

「俺達お互いにすれ違いだったんだな」

その時、急に目眩に襲われた。