「亜紀、幸せになろうな」

「はい」

亜紀はコクリと頷いた。

「日本に戻らなくていいんですか」

「会社のことは、健に頼んで来たから大丈夫だよ」

「愛理さんのことは大丈夫ですか」

亜紀は俺を質問攻めにした。

これも仕方のないことだろう。

全て俺が悪いんだからな。

亜紀とニューヨークで出会った時から、今の気持ちを持ち続けていられたら、こんなに遠回りはしないで済んだんだと反省した。

真央、俺と亜紀を見守ってくれ。

しかし、それは考えが甘かったのだ。

愛理お嬢さんは言葉通り、俺を諦めなかった。

日本に戻ると、俺と愛理お嬢さんの結婚間近の報道が流れていた。

俺は健から日本の状況を知らされていた為、あえて亜紀と別の便で日本に向かっていたのだ。

案の定、空港で記者達に囲まれて、取材を受ける事になった。

亜紀との結婚をほのめかすと、亜紀が記者達に狙われる危険を考えて、愛理お嬢さんとの結婚はない事だけを伝えた。

やっとの思いでマンションに戻ったが、亜紀は健のマンションにかくまって貰う事にした。